在学院生・修了生の声
博士課程院生より3.
陸圏環境科学コース 2006年度D1 小松哲也
私は,地球圏科学専攻陸圏環境科学コースの博士課程に在籍しています.東京の大学・大学院(修士課程)出身で,地理学・地形学を専攻していました.興味ある研究テーマは,「高山地域における第四紀の地形発達史」,「最近の温暖化に伴う雪氷圏の変化が地形変化に与える影響」などです.修士課程では,ネパール東部クーンブ・ヒマール,イムジャコーラ流域において,地形の成因や形成時期に注目した地形学図の作成を行いました.また,その地形学図と異なる時代に撮影されたリモートセンシング資料を利用することで,過去40年間のマスムーブメント地形変化の傾向と特徴を明らかにしました.現在は,パミール高原(タジキスタン)における第四紀の地形発達史をメインテーマにして研究を進めています.
次に研究室の紹介をしながら,M1・D1の研究の進め方についてお話していきたいと思います.現在,私たちの研究室には修士課程の学生が8名,博士課程の学生が3名,研究員が4名います.このうち6名が海外からの留学生・研究員です.そのため日常生活やゼミ発表と英語に触れる機会が多いです.また,大学時代の専攻が地理学・地形学・地質学以外であった学生も多く,中にはユニークな履歴の方も存在します.
ゼミは毎週1度行い,M1やD1の学生は主として構想発表や文献紹介を,M2やD2以上の学生は調査結果の報告を行っています.また,M1の学生は5〜6月に1週間ほどの巡検を行います.今年度の巡検のフィールドは十勝・根室周辺で,私たちは津波堆積物・テフラ・火砕流堆積物・周氷河現象・海岸侵食・河岸侵食について観察・記載を行いました.同時に,地層の剥ぎ取りやトータルステーションを用いた地形測量の実習も行いました.巡検後,M1・D1の多くは,数度のゼミ発表や先生方との相談を通して夏休み前に研究テーマを決めます.そして,秋の終わり近くまで,それぞれが研究テーマに従って調査を進めていきます.なお,授業については1週間に1コマ程度であり,大学院生活に占める割合は大きくありません.
以上のように,私の所属する研究室での大学院生活では,その大部分が自身の研究を進めることに費やされます.そのため積極的,計画的に物事を進めることが求められると思います.また,野外調査が基本となる分野なので,野外活動に親しんでいるということも重要だと思います.皆さんが,陸域環境のフィールドサイエンスを目指す場として地球圏科学専攻陸圏環境科学コースを選択してくださることを願っています.